第一章…騎兵から飛行機へ

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その双発爆撃機は二人乗りで、リヒトフォーフェン射撃手を担当した。 『必ず戦果を挙げてやる!』 そう意気込み…敵地へと出動した彼だったのだった。 オステンド伝書鳩部隊は10数機で、V時型の編隊を組み、敵地上空へと乗り込んだ。 彼らは目的の場所に爆弾を投下し…帰路に付いた時。 前方から敵の飛行機が銃撃を加えてきた。 『リヒトフォーフェン少尉!反撃を!』 後部座席に居る操縦手が彼に叫んだ。 リヒトフォーフェンは機銃を発射したが… 敵はそれをかわした。 『機体を2時の方向へ!』 リヒトフォーフェンの言葉に、操縦手は機体を指示通りに動かしたが…その動きは散漫だった。 敵は盛んに動き回り… リヒトフォーフェンが放った弾丸は、一発も当たらなかった。 結局、その敵機は…他の味方によって撃墜された。 『リヒトフォーフェン少尉、あんた射撃が下手くそだなぁ』 操縦手が、堕ちて行く敵機を眺めながら言った。 『あんたの操縦が上手く無いんだ。私の言う通りに機体を動かしてくれたら…遅れはとらなかっただろうに…』 リヒトフォーフェンはカッとなり、そう言い返した。 この時、彼は…動き回る敵機を撃墜する事の難しさを痛感していた。 彼の初陣は…こんな感じのほろ苦いものだった。
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