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「これからは馬でなく、飛行機の時代だ…ますます発展する飛行機に乗り…華々しい活躍をしたい」
そんな思いに駆られた彼は、あらん限りの情熱を持って、上司を説得した。
彼の騎兵としての能力を知っていた上司は…
『この男なら飛行隊向きだ』
と、直ぐに転属願いを受け付けてくれ、転属の手続きをとった。
飛行隊は騎兵部隊の兵科の一つであったため…
転属はスムーズに行われた。
1915年6月、開戦から一年もたたずして…彼は飛行学校へと入ったのである。
しかし…そのポストは操縦将校ではなく偵察将校であった。
後年…この時の心境を、リヒトフォーフェンは弟のロタールに語っている。
『操縦将校になりたかったが、それになるには、少なくとも三ヶ月はかかる。
早く前線に出たいのに、ぐずついていると戦争が終わる可能性もある。
それで仕方なく…偵察で我慢する事にした。』
彼は約一ヶ月の偵察教育を受けた後…
東部戦線のマッケンゼン将軍麾下の偵察部隊に回された。
マッケンゼン将軍は、あのタンネンベルグ会戦の英雄の一人であり…
リヒトフォーフェンは『そこでなら、前線に出れるだろう』と期待しながら…転属命令をうやうやしく受けた。
彼は戦場の空に…思いを馳せていた。
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