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放課後、内田と並んで学校を出る。 一緒に帰ろうとか言った事は無い。 たらたら歩いていると、内田が、 「なぁ、今日暇?」 と言った。 「まさか、塾だよ。」 「だよな。」 「つか、お前もカテキョー来んだろ?」 「うん。」 内田はちょっと落ち込み気味だ。 「どうした?」 「6時からだから、ちょっと寄ってかね?」 内田は喫茶店を指差して言った。 「はぁ?無理だし。」 「頼むよ。ちょっと。」 内田は拝むように言う。 「なんだよ、どうした?」 仕方なく、塾には1コマ遅れで行くことにした。 喫茶店に入り、テーブルにつくなり内田は言った。 「俺さ、…好き……んなっちゃった」 「は?」 まさか‥ 「カテキョー?」 俺が聞くと、内田は真っ赤になり、頭を抱えてテーブルに突っ伏した。 3年になってから、内田は家庭教師をつけていた。 確かに、内田の学力はあまり良い方ではなかったから、懸命な判断だと俺は思った。 しかし、大学生の家庭教師は、内田にとっては計算外だった。 親が勝手に申し込んでしまい、無理矢理家に閉じ込めた。 親の方がよっぽど受験に熱心に取り組んでいる。 内田のことをよくわかってんなぁと思っていた。 .
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