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大学の合格発表…
受験番号の書かれた小さい紙を握り締め、俺は掲示板の前に立つ。
やっぱり‥
何度も確認したが、俺の番号は無い。
諦めきれずにもう一度見る。
しかし…
「落ちたんだ」
俺の受験‥
勉強に明け暮れたこの1年。
ヒュー、ヒューと、風が俺の心臓を吹き抜ける。
母さんになんて言おう。
真っ先に浮かんだ母の顔。
俺はノロノロと歩き出した。
帰り道、聞こえてくるその殆どが歓喜の声。
とぼとぼ、と言うのが俺の正しい足音。
あまりに下を見て歩くから、落ちているゴミや、コンクリートにこびりついて黒くなったガムや、白線が目に入る。
子どもの頃、よく白線の上を歩いて帰った。
試しに白線の上を歩いてみる。
はみ出ると鮫に食べられる、とか、ピラニアに足を食われる、とか、妄想して遊んだ。
あれはまだ6~7年前のこと。
そしてふと、交差点の手前に置いてあるコンクリートブロックに目を止める。
オレンジ色で
【←30Mギョーザ】
と書かれている。
これ、なんだっけ?
懐かしいような、どうでもいい物のような‥。
近くまで来てしゃがんで眺めた。
【←30Mギョーザ】
これは‥
小学校の通学路にあったものだ。
なんでこれがここに?
しばらくぼーっと眺めていると、いきなり物凄い騒音が鳴り響いた。
ビリリリリリリリリリ!
慌てて耳を塞ぎ、辺りを見回す。
しかし音の根源がわからない。
キョロキョロしたあと、ブロックに目を戻す。
こいつから音がする。
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