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俺はブロックを叩いた。
叩いても叩いても音は鳴り止まない。
耐えきれず俺は立ち上がって走り出した。
思うように足が動かない。
ムキになって必死で走る。
走る、走る、
…それでも騒音はついてくる。
走る、走る、逃げる…………………………
「‥ゆき」
「た‥ゆき」
「たかゆき!」
俺はパッと目を開けた。
「まったく、目覚まし時計をセットしたらちゃんと起きなさい。」
目覚まし時計を片手に、俺のベッドの前に立つ母の姿。
「ゆ‥夢落ち?」
「なに寝ぼけてるの?学校遅れるわよ、早く起きなさい。」
そう言って母は部屋から出ていった。
夢か‥
時間を確認すると、午前6時15分だった。
時計の隣にかけてあるカレンダーに目をやる。
まだ受験まで3ヶ月近くあるというのに‥
「最悪だな。」
伸びをしながら呟く。
でも、夢でよかった。
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