#2

3/6
前へ
/127ページ
次へ
教室に入ると、一番に挨拶をするのはクラスメートの内田。 こいつとは小学校の頃からずっと一緒で、幼なじみの感覚が強い。 「北澤ー、おはよ。」 内田が俺の所に来た。 「おお、おはよ。」 「お前さ、進路調査表出した?」 「まだ。」 「俺も。」 内田は俺の机に腰掛けた。 「なぁ、本命決まった?」 内田が聞く。 「うーん‥大体。」 「そっか。」 「内田は?」 「まだ、考え中。」 まさか、俺と同じとこ狙うなんて‥‥ 「一緒にいかね?」 「は?」 「北澤が行く大学に俺も行く。」 「嘘だろ?」 「なんで?」 「嫌だよ。」 俺は冷たく言った。 「冷たいねー孝之は。」 「図々しい、名前で呼ぶな。」 俺は手をひらひらさせてあっち行けと訴えた。 「ひでぇ、俺らずっと一緒にやってきたじゃんか。」 セリフの割りに顔が笑っている。 「あのなぁ、なんでお前と大学まで一緒に行かなきゃなんねーんだよ。 どうせ家も近いししょっちゅう会うのによ。」 俺は笑って言う。 「腐れ縁だと思え。決まったらちゃんと教えろよ。」 内田はいい奴だ。 いつもさらっとしていて付き合いやすい。 親友なんてものではない。 でも、おっさんになっても、内田とは友達なんだろうな、とぼんやりと思う。 .
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

279人が本棚に入れています
本棚に追加