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わっちんの2コ下の妹だった。
当時小学5年生だった俺は、初めてわっちんの家に遊びに行ったときに会った、幼い美雪ちゃんに目を奪われていた。
11歳になるかならないかぐらいの頃だから、恋なんて言えるものじゃないが、
今思うと、一目惚れしていたんだなぁとなんとなく思う。
ふわっとしていて、ニコニコして、いつもわっちんにくっついて、可愛かった。
一人っ子の俺には、妹がくっついてくる気持ちなんてわからなかったから、本気でわっちんが羨ましかった。
当のわっちんは、いつもちょっとうっとおしそうにしていたが、
いじめたり、あっちいけとかは言わずにいたから、そういうのがすごくよかった。
でも、実際のところ俺にとってわっちんは結構苦手な部類の人間だったから、内田が行こうと言わないと行けなかった。
頭良くて、金持ちで、すでに高飛車なわっちんは、あんまり友達もいなくて…
なんで公立の小学校に通っていたのか未だに疑問だ。
案の定、中学は私立に行ってしまい、それ以来わっちんの家には遊びに行けなくなった。
学校で会えないから、遊ぶ約束も出来ない。
ましてや内田がいなきゃ、俺からは言えない。
中学に上がると、内田はもうわっちんのことなんて忘れてしまったようだった。
話に出ることも無かった。
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