あお

6/6
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
そう 思った時 あおの体から 力がぬけて 青い小さな魚は 水面に プカリと 浮きました ふんわりと 春を思わせる風が そっと あおを 岸辺に 押し戻します ひんやりと 冷たい風が 又 川に 押し返します やめて! ほっとけよ、自分で選んだんだから。 ほっとけないわ! 冷たい風は 音立てて あおの 体を 一回りしました やわらかい風が 岸辺まであおの小さな体を 静かに押していきます ぼんやりと 見上げた あおの 目に 薄紫の風が 見えました いらっしゃい 私達と 一緒に いきましょう よく、わからぬまま あおは 旅立ちました。 帰りたい 想いを 胸に 遠い 長い 旅へと。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!