1/

7/22
前へ
/73ページ
次へ
流石に起きたらしく、静かにのたうちまわる、少女。 皐はふんっと息を吐き出した。 「人様の寝床で寝てやがるからだ」 非情に言い渡すと、少女が顔を上げた。 薄茶の無感動な瞳が、皐を見上げる。 (お?) 皐は口を引き結んだ。 (やっぱり何となく……な……) すると、少女が口を開いた。 「痛い」 「……おう」 まあそうだろう。 蹴られた上に、ベッドから落ちたのだから。 だが、痛いと言いながら、少女の綺麗な顔にはかけらも感情が浮かんでいない。 全くの無表情だった。 何となく、人形めいた感じを受ける。 (アイツとは正反対だな) 思わず溜息をついていた。 「……何?」 「いや、別に」 白々しく答える。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

288人が本棚に入れています
本棚に追加