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流石に起きたらしく、静かにのたうちまわる、少女。
皐はふんっと息を吐き出した。
「人様の寝床で寝てやがるからだ」
非情に言い渡すと、少女が顔を上げた。
薄茶の無感動な瞳が、皐を見上げる。
(お?)
皐は口を引き結んだ。
(やっぱり何となく……な……)
すると、少女が口を開いた。
「痛い」
「……おう」
まあそうだろう。
蹴られた上に、ベッドから落ちたのだから。
だが、痛いと言いながら、少女の綺麗な顔にはかけらも感情が浮かんでいない。
全くの無表情だった。
何となく、人形めいた感じを受ける。
(アイツとは正反対だな)
思わず溜息をついていた。
「……何?」
「いや、別に」
白々しく答える。
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