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「――はあ、まあとりあえず、お前何者だよ?」
「藤……淡姫(アワヒメ)」
またけったいなお名前で。
て、そうじゃなく。
「はあ? 名前なんか聞いてねぇよ! 何者かって言ってんだ」
「十七歳……女」
「――話が、通じねぇ」
皐は思わず頭を抱えた。
何か用事があったのなら、さっさと済ませてお引き取り願おうと思っていたのだが、どうもズレている。
「はあ……ま、いいや。本当なら軍に突き出すところだが、運がよかったな。俺は今眠い。見逃してやるからさっさと出ていけ」
しっしと手を振ってやるが、しかし。
「それは……出来ない」
「……なんでだよ」
「ボクは、用事が、あって……来たから……」
「用事?」
こっくりと頷く、淡姫。
「貴方に、ボディーガードを……頼みに」
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