序/

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男は、続けざまに引き金を引いた。 が、当たらない。 「な、何!?」 (どういうことだ。これが外れるなど……) この拳銃の『能力』は、『命中』。 男が標的だとはっきり認識し、尚且つ決まった型で放つことができたならば、必ず、狙った相手に向かって外れることはない――はず。 焦った男は、間を置かず、発砲した。 それでも、影には当たらず、また一歩ふらふらと近付いてくる。 「……何故当たらない……!」 男が、さらに引き金を引こうとした時――。 「あーあー。無駄だって」 背後から、声が、した。 影が、ぴたりと動きを止める。 「ったくよー、俺をこんな仕事に使いやがって」 まだ若いその声に、男は慌てて振り返った。 ――そこには、一人の男がいた。 否、男というには、少し若いかもしれない。 二十歳前だろうか。 黒髪、黒瞳。すらりとした長身で、切れ長の瞳がやけに鋭い。 物腰は乱暴かつ横暴で、一見すると社会不適合者、つまり裏社会の人間のように見えるが、顔立ち自体を見ればそうでもない。 むしろ、どことなく気品さえ漂わせている。
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