お嬢様と執事

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「さて……、火よ」 ヒースは言葉を発すると共に指を擦り軽快な弾けた音を鳴らした。 刹那、ヒースの足元に握り拳一つ分の火の玉が現れた。 魔術である。魔術とは空気中にある魔素を操り自然の力を使う事ができる術だ。 使い方は本当に簡易な物で、合図と言葉だけで発動させる事ができる。 しかし、自然の力といっても使う事ができるのは四大元素と呼ばれる火、水、風、雷の四つの力だけである。 ヒースがたった今、使ったのが火の魔術だ。使用方法は大体、限られる。 料理を作るときの火であったり、ゴミを燃やす為であったり……その他と言えば戦闘にだろうか? しかし、戦闘に使うには難しい。何故なら空気中の魔素を使うのだから扱いは難しい。 あまり、戦闘には好まれないのが魔術だ。 「さぁ、できましたよ」 ニッコリ微笑んでヒースが岩影にシートを敷く。 そして紙の小皿に料理を盛り付けマリルの前に置いた。
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