第1章 焔は風に吹かれて

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 そんなこんなで示遠に上手く丸め込まれ、学校に入学した訳だ。 (上手くやっていけるでしょうか……)  長い間人との関わりを持たなかった陽は、他人とどう接すればいいかなど知りもしない。  陽がこれからの高校生活に不安を覚えていると、ドアを開ける音が聞こえた。先生が入ってきた様だ。  入ってきた先生は意外と若く、20代半ば位に見える。白髪のボサボサ頭で、眼は黒色をしている。だが、若々しい見た目に反し、気だるそうにしていて眼は死んでいる。 「あー、今年1年間お前らの担任をすることになった佐高銀次(サタカギンジ)だ。よろしく」  なぜか白衣を着ているこの男は、なんとも気の抜けた声で自己紹介をしている。 「それと面倒事は起こすなよー。事後処理が面倒だから」  最初からやる気の無さが全開だ。本当に先生なのか疑いたくなる。  生徒達は先生のやる気の無さに呆れて物も言えない。出鼻を挫かれた気分なのだろう。 「じゃあ、取り敢えず自己紹介でもするか。出席番号順に行くぞー」  
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