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トーヤ・レイク近くの開けた場所にMS運搬用トレーラー3両と支援車両群が停車した。
偵察小隊はそのまま前進、通信兵達はレーザー通信機等の設置にかかった。
ー906号機、起動ー
誘導に従って、立ち上がるGM。
先程の青年、ギル少尉の機体だ。
パタタタッ…
トトトト…
ザガン!
何分過ぎたであろう…一山越えた向こう側から突如、聞こえる射撃音。
散発的に鳴り響いた刹那、爆発音が轟き黒煙が新たに立ち昇った。
ピー「エクリーだ…」
エクリーとは今回の調査部隊の指揮官に任命された佐官だ。
嫌みったらしいが、冷静な判断の下せる男だった。
「先程の交戦音は偵察小隊が攻撃された音だ…何とか映像を撮って送ってくれたものの、壊滅的なダメージを受けた模様」少し躊躇うように間を取り、指揮官は再び話し始めた。
「諸君のモニターに映っているように、映像には簡易的な壕を構築しザク(型式不明)2機ほどが展開している」
「そして今回の悩みの元凶、招かれざるゲストの正体が…」
「これ、ザンジバル級と思われる戦艦だ」
モニターに現れた巨大な影は打ち上げられたクジラの様に湖際に横たわっていた。
全容をカメラが収めた瞬間、光がモニターを包みノイズだけになった。
「映像はここまで…これを元に包囲作戦の企図にはいる、我々だけの手には負えんが足留めせねばなるまいー以上」
周囲に緊張と恐怖が張り詰めた。
何か冷たいモノが首筋を撫でるような…不快感がよぎる。
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