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食事も食べ終わり、僕とお嬢様はお喋りの時間に入った。お喋りといっても、向こうからの一方的な質問マシンガンなのだが。
そして、その質問の内容はあまりにも恋愛が多い。そこまで気にすることでもないと思う。
いや、切実にそう思うんですけど。
「ねぇ、隼人っていつキスしたのよ?」
「…………は?」
「だぁかぁらぁ、いつファーストキスはしたのよ!」
そんなの答えるべきことじゃないような。それに僕はまだ……
「あの……僕はまだファーストキスはおろか、彼女ができたこともないんです」
お嬢様が眼をパチパチさせる。顔つきは、嘘だぁと言っているようだ。
「あのねぇ……隼人。私に嘘は利かないのよ。わかった?」
「はい」
「で、ほら私の質問には真面目に答えなさい。隼人は私の専属執事なんだから」
うーん、全然信じてもらえてないみたいだ。かと言って、さっきの言葉は本当だし…………、どうしよう?
困るに困った僕は、話を変えることにした。
「あ、そういえば玲奈お嬢様は恋人ができたりしたことあったんですか?」
「……あんた、話を変えようとしても無駄だからね」
うーわー、見抜かれてました。いや、マジでどうしよう。
誰か助けにきてくれないかな。ホント、誰でもいいんで。
僕のそんな願いが、本当にいるかどうか知ったこっちゃない神様に通じたらしく、部屋のドアが開いた。
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