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部屋に入ってきたのは、女性だった。
流れるような金髪のロングヘアーに、透き通るような蒼い瞳。身長は見ただけで170センチはありそう。
「何よ、お母様。私は今、隼人と喋ってるんだから用事なら後にしてよ」
「用事なんてないから安心してもよろしいですわよ」
なんと、玲奈お嬢様の母上だったらしい。
そういわれると、所々似ている。魅力的な唇とか、スーッと高い鼻筋とか。
てか、僕も挨拶しなくては。
「初めまして! 遅くになりましたが、これから玲奈お嬢様の専属執事をやらせてもらいます、天宮隼人です! これからよろしくお願いします!」
一通り自己紹介みたいなのを言い、頭を下げる。これで初対面から嫌われることはないだろう。
…………声が掛からない。十秒ほどたったに、お母様からの声がしない。
どうしたのかと思い、顔を上げる。
その直後だった。
「可愛いですわ!」
「……──ガハッ!」
「お母様! 何をしてるのよ!!」
僕はお母様にダイレクトアタックを食らって、床に倒れた。頭がガンと当たる。ものすごく痛い。
「可愛いですわ。可愛すぎます! わたくしがこの子を貰いますわ!」
何かヤバイこと言ってますよ、この人。てか、助けてくれてないじゃん。余計に事態を悪化させてくれてるじゃん。
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