516人が本棚に入れています
本棚に追加
窓から射し込む朝日が容赦なく僕の顔を照らす。春の陽気が部屋まで染み込み、最近寝心地がいい。
孟浩然が、春眠暁を覚えずとよく言ったものだ。
僕は寝たまま、目を机の上に向けた。そこには熊の形をした時計がある。
時計の針は、十時半を指していた。せっかくの日曜日の朝を無駄にしてしまうとは……。
最近疲れが溜まっていたのだと自己解釈し、ベッドから降りる。
寝相があまり良くない僕は、寝ている最中に足で吹き飛ばした毛布など畳んでから、自室を出る。
僕の家は、簡単に言ってしまえば、二階建ての普通の家だ。ただ、父さんの趣味がおかしいのか、家の壁は緑で塗られている。
物心ついたころからこの色だったため、僕自身はあまりおかしいとは思わない。しかし、友人を家に呼んだときとかは、こんな言葉を聞かされる。
『緑とか……お前の父ちゃん、よっぽど森が好きなんだな』
う~むと唸るしかない。父さんが森を好きなのかは知らないが、それでも壁を緑一色にするのはいかがなものかと思う。
僕の部屋は二階にあり、リビングは一階にある。
僕は階段を駆け降りた。
リビングから数人の話し声がする。いつものことながら、リビングには、既に起きて朝食を食べ終わった妹と兄がいるのだろう。
僕はそう考えながら、リビングのドアを開けた。
最初のコメントを投稿しよう!