プロローグ

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 窓から射し込む朝日が容赦なく僕の顔を照らす。春の陽気が部屋まで染み込み、最近寝心地がいい。  孟浩然が、春眠暁を覚えずとよく言ったものだ。  僕は寝たまま、目を机の上に向けた。そこには熊の形をした時計がある。  時計の針は、十時半を指していた。せっかくの日曜日の朝を無駄にしてしまうとは……。  最近疲れが溜まっていたのだと自己解釈し、ベッドから降りる。  寝相があまり良くない僕は、寝ている最中に足で吹き飛ばした毛布など畳んでから、自室を出る。  僕の家は、簡単に言ってしまえば、二階建ての普通の家だ。ただ、父さんの趣味がおかしいのか、家の壁は緑で塗られている。  物心ついたころからこの色だったため、僕自身はあまりおかしいとは思わない。しかし、友人を家に呼んだときとかは、こんな言葉を聞かされる。 『緑とか……お前の父ちゃん、よっぽど森が好きなんだな』  う~むと唸るしかない。父さんが森を好きなのかは知らないが、それでも壁を緑一色にするのはいかがなものかと思う。  僕の部屋は二階にあり、リビングは一階にある。  僕は階段を駆け降りた。  リビングから数人の話し声がする。いつものことながら、リビングには、既に起きて朝食を食べ終わった妹と兄がいるのだろう。  僕はそう考えながら、リビングのドアを開けた。
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