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開けた途端、驚いた。僕たち家族は父さんと母さんを含めて、五人しかいない。ばあちゃんやじいちゃんもいることいるのだが、ここから遠い田舎にいるはず。
こちらに来るといった報せはない。
だとすれば、今のリビングの様子はどういうことだろう?
父さん、母さん、妹、兄がいる。それは当たり前だ。
なのに、他にも黒服を着た男の人が三名に、見覚えのない金髪の美少女がいた。外国の方々だろうか?
「あんたが天宮隼人ね?」
皆からの視線を浴びている僕に、金髪美少女が近寄ってきた。
どうして、僕の名前を知っているのだろう?
「あの…………どちら様でしょうか?」
声を発せられることはできた。なのに、一生懸命出したその言葉を無視して、彼女は僕の頬に手を当てた。
「ふぅん……容姿はなかなかいいじゃない。合格ラインよ。体型も大きすぎず、小さすぎずで私の好みにも合ってる。あとは、体力のほうだけど……まぁ、それはおいおいでいいかしらね」
つらつらと僕の外見的要素を口にする。まぁ、美少女に容姿を褒められるのは、嬉しい。
「あの…………本当に誰?」
「一々ここで説明するのがめんどくさいから、単刀直入に言うわよ」
何を言われるのだろうと身構える。というか、どうして僕の家族は、救いの手を差し伸べないのだ。
「あんた……私の“執事”になりなさい」
「……………………はい?」
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