プロローグ

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 それから後は、怒涛の勢いだった。当事者の僕は完全においてけぼりにされて、父さんと外国の方々が何か交渉してる。  その間に、僕は母さんに洗面所に連れていかれて、無理矢理顔を洗わされ、歯を血が出るんじゃないかと思うぐらい磨いた。  寝癖を直し、次に父さんの部屋に行かされ、黒いスーツを着させられた。  本当に意味が不明だ。  何が起こってるのと母さんに訊いても、頑張ってねと返されるだけ。  何を頑張れというのだろう?  ネクタイまでビシッと装着され、僕はリビングに戻った。そこにはやけに上機嫌な金髪美少女がいて、僕を眺めた。 「へぇー、かなりスーツ似合ってるじゃない。これはアタリだったかな」 「あの……意味がわからないんですけど…………って、うわっ!」  突然、黒服の人たちが僕を持ち上げた。それはもう軽々と。紙でも持ち上げてるんですかというぐらい。 「はい、あんたたち。車に中に入れてきて。いい? 縛り付けてでもおとなしくさせるのよ。あと、スーツにシワを作らないように」 「はい、お嬢様」 「あのぉぉぉーーー、ちょっとぉぉぉーー!!」  春の朝、僕は何者かに、家族公認で拉致されました。
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