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生まれて初めて乗ったリムジンに連れていかれた場所は、豪邸だった。頑丈そうな門があり、その横に黒服さんが二人いて、もうこれだけでビックリだ。
僕は初めて見る光景に目を奪われた。そんな僕の横には、家を出た時から上機嫌な金髪美少女がいる。
「あの……名前を教えてくれませんか?」
まだ名前を聞いていないことを思いだし、僕は彼女に尋ねた。
ところが、彼女は無言。
「あの……聞いてます? ねぇ、ちょっと」
身体が至るところを縄で縛られてるから、声しか掛けられない。
何度呼び掛けても無言の彼女を諦め、僕はまた外の風景に目をやった。
「すごいなぁ……」
門の中はくぐったのに、また外に出たかのような庭がある。どれだけ広いんだよ。
僕は口を開けながら、リムジンで運ばれていく。
数分すると、ようやくリムジンが止まった。黒服の人が車のドアを開けて、僕の縄をほどいてくれた。
金髪美少女も、のそのそとリムジンから出てきた。
「ここは…………どこ?」
「ここがこれから、あんたの家よ、隼人」
やっと口を聞いてくれた金髪美少女。
僕は彼女の言葉で腑に落ちない単語を見つけた。
「ここが……僕の家?」
「そうよ、当たり前じゃない。あんたは私の執事なんだから」
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