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「その話って……本当だったのですか?」
「勿論。嘘だとでも思ったかしら」
無い胸を強調するかのようにふんぞり返る金髪美少女。僕はハァとため息ついて、現状況を把握することにした。
「あなたは誰なんですか?」
「あなたじゃないわ。お嬢様と呼びなさい」
「あー……わかりました。お嬢様は誰なんですか?」
多少抵抗はあったものの、ちゃんと言い直して再度訊く。
彼女はその綺麗なサラッサラの髪を手で払い、上品な素振りをする。それがとても様になっている。
「私の名前は、東条院玲奈。東条院グループの一人娘よ。で、あんたは私専用の執事になったの。わかってくれた?」
悪いが、わかったのは彼女の名前と素性だけ。
僕を無理矢理拉致した少女の名前が東条院玲奈で、世界的大企業の東条院グループの一人娘だということ。
たったそれだけだ。
東条院さんの後半の台詞は僕の脳では解析不可能だった。
「まぁ、なんとなく。それで、東条院さん。どう──」
「玲奈お嬢様よ」
この人は好きなんだな、遊ぶのが。
少しだけ金持ちの遊びに付き合ってあげよう。
「で、玲奈お嬢様」
「うん? 何かしら?」
「僕をどうしてここに? これって拉致なんじゃないですか?」
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