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「あのね……、あんたは今から私のし・つ・じなのよ。執事を連れ去ることがどうして拉致になるのよ」
なんという我が儘さ。これが金持ちの考え方なんだ。
僕はとりあえず、隣にいる黒服の人に言ってみた。
「ねえ、警察とか呼ばれたらヤバイんじゃないの?」
「いいえ、それはありませんよ、隼人様」
「や、やめてよ、隼人様って!」
初めて、名前の後ろに様を付けられた……。
僕に様付けるとか……演技は完璧だね、この黒服さん。
「あなた様はもう玲奈様の専用執事なのですから、わたくしどもより偉いのです。様を付けるのは至極当然です」
「そうよ、隼人。あんたは選ばれたの。私の専用執事にね。神様にありがとうとでもお礼を言いなさいな」
なんか段々、これが嘘なのか本当なのか、解らなくなってきたぞ。
演技にしては二人とも巧すぎる。かといって、本当に僕なんかが執事に選ばれたとは思えない。
「あの……………、これって本当の本当に本当?」
「勿論よ。嘘だとでも思ってたの?」
ああ……、どうやら本当っぽいです、この話。だと言うことは、僕は今から怜奈さんの執事?
……謹んで、辞退させていただきます。
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