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掴まれた腕が熱い。
「不器用な笑い方するんじゃねェ」
不器用って言われて、つい振り返ってしまった。
「…っ」
「バカチャイナ」
何か言おうとしたのに、言えなかった。
喉に詰まって。
「ほら」
「うるさいっ!…だれが、不器用アル!」
自分よりも背の高いソイツを両手で叩いた。
ポカポカ叩いた。
「そこが不器用なんだろ、…自分の気持ちにも、」
「…!?」
言われた事に固まって。
「不器用なんだよ。分かれバカ」
そっぽを向いて、そっと背中に回された手に相手の顔を見つめた。
似合わず赤くなった顔に、つい笑みが零れて。
「何笑ってるんでィ!」
「…だって、似合わないアルっ」
「お前は、どうなんでィ」
ドンっと胸に押し付けられ、驚いたのも束の間。
ドクドクと速い心臓の音に、目を瞑った。
嬉しいと。
ニィッと笑って言えば、赤い顔のまま硬直したソイツがいて。
即座に腕の中から抜け出して、屋上の扉を開けて振り返った。
「ドSバカ!」
「…っ!な、待てコラチャイナァア!!」
追いかけっこはいつもの事で。
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