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「己が罪、か…。」 吉継は、白い布で覆っている自身の顔に触れながら、半ば無意識に呟く。 すると、すぐ傍に座っていた三成が鼻で笑った。 「罪?其れが罪人の証なら、俺は勿論、秀吉様でさえ顔を覆っている。」 「佐吉…。」 吉継は其の言葉に驚く。 しかし、以前と変わらぬ友人の態度に、病で臥せっていた彼は嬉しくなった。 ライ病。 つまり、現代で言うハンセン病。 吉継は、ハンセン病に侵されていた。 医療の進んだ現代でさえなかなか理解されない病である。 此の時代で到底理解されるはずもない。 吉継に対しての偏見の目は、それは酷いものだった。 唯一、以前のまま接してくれるのは、彼の旧くからの友人である石田三成と、主である豊臣秀吉。 そして、未だ仕えてくれている吉継の家臣達だけ。 吉継は其れだけで十分だった。 いや、病に侵された身の己を未だ重用してくれている秀吉や、こうして時折、忙しい仕事の合間を縫って見舞ってくれる三成を勿体ないさえ思う程だ。 .
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