** 淡く儚く

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───そう。 なんで、自分なんだろう。 病室の中で、ずっと考えてた。 答えはみつからなかったし、誰かと考えるなんてしなかった。 悔しい、悲しい、苦しい…。 苦い苦い記憶が蘇る。 病室が憎かった。 医者が憎かった。 病気が憎かった。 健康な体で遊ぶ同年代が、憎くてたまらなかった子供のころ。 溢れる想いが、爆発した。 「僕が何をしたんだよ!? 世界には、僕より悪いことをした人間なんかいないのか!? 善人ばかりの世界なのか!?」 銀の表情は痛々しかった。 「答えろよお医者様!! 頭がいいんだろ!? こんな問題、簡単だろ!?」 表情も、瞳の美しさも変わらない銀に、僕は大声で問い掛けた。 「ほら!! やっぱり医者なんてこんなものなんだ! だから、もう─────っ」 喉の痛みは、ピークだった。
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