** 淡く儚く

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焼けるなんてもんじゃない。 焼きゴテを直接あてられているかのようなリアルな痛み。 息ができる、できないなんてレベルは通り越している。 銀は僕の異変にすぐ気付いて、慌てて喉に手をあてた。 「──! 今助けるから、待ってて!!」 バタンと激しい音がして、すぐ廊下を走るようなうるさい音がドアを通して聞こえてきた。 その頃には僕の意識は朦朧だったけれど、心の中で呟いた。 (………あんなに叫んだの、久しぶりだな………) 銀のあの表情を思い出したら、すこし気分がよくなった。 ────ガチャッ 看護師たちを引きつれて病室に戻ってきた銀がみたのは、意識を失った灯涙だった。 それは、穏やかな寝顔にも似た、安らかなものだった。
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