** 淡く儚く

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たぶん銀は、医者になったばかりだと思う。 治らない僕の担当医はみんなが嫌がるから、若手の修行だとかなんとか言って銀に押しつけたんだろう。 だったら尚更、どうでもいい。 「もう遅いんだよ!!無理なんだ!!」 「やってみなくちゃ、わからないだろ!」 あまり大きな声を出せない僕より遥かに大きな声。 その声は力に満ちていて、希望を灯した声だった。 「まだ灯涙は生きてる! なら、どうなるかなんて誰にもわからないだろ!! 簡単に、諦めるなよ……」 まさに、衝撃だった。 担当医からそんなことを言われたことなんてなかったし、ましてや励まされるなんて。 今までの担当医は難病を患った僕を腫れ物のように扱い、お金をむしり取っただけだった。
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