episode1

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…イライラしてしまう。 麻菜はそわそわしながら江間の背中を目で追っている。 「…うん、もう行く」 「…よし」 私は麻菜の頭をポンポンと叩いた。 ちゃんと言えばわかってくれる、いい子なんだ、麻菜は。 「ねえ、要お兄ちゃん」 「何?」 私は薄く笑みを浮かべて返事をしたが 「いつも江間先輩の隣にいる人、誰?」 静かに笑みが消えた。 「…麻菜がそれを知ってどうするんだ?」 あいつを突き飛ばして江間の隣に割り込むのか?麻菜はそんな子じゃないだろう? 「ハア…」 ため息もつきたくなる…。 「…あいつは3の2の鞠手 里桜。江間の幼なじみらしい」 言ってからハッとした。口をついて出てしまった。 「お兄ちゃん…!」 ああ…私は本能のままに行動しているんだ…。こう言うと麻菜は喜ぶ…それを本能で知ってるんだ…。 「私はこれぐらいしか知らない。あとは自分で調べろよ」 「うん…!」」 この笑顔を見たいがために、私は自分の首を絞める。 この手の温もりを手放したくないが故に、その手を緩めている。 何をしてるんだ私は…!麻菜に見えないようにキッと唇を噛む。 そうして、麻菜が離れていくのを知っていて…。
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