プロローグ

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―――――――――――――― 「……………っ?!」 勢いよく起き上がった。 バクバクとする心臓。 目の前に広がるのは昨日と変わらぬ自分の部屋。 「……はぁ…はぁ」 呼吸を整えるため何度も深呼吸をする。 ピピピピ、ピピピピ そして聞こえてきた目覚まし時計。 何度聞いてもなれない機械音。 それを乱暴に止める。 「…夢………か」 そう呟きながら額の汗を手で拭った。 体中が汗でベトベトだったが、今はそれを気にするほど余裕はなかった。 一週間に二度は見るこの夢。 もう5年前のことなのに 今でも脳裏に焼きついて離れない。 「…っき」 首にぶら下がる銀のネックレス。 ……あの時に戻りたい 圭は震える手でそれをギュッと握りしめた。 そしてそのまま窓に目をやる。 カーテンの隙間から覗く青い空、そして花びらが舞う桜の木。 「そうか……今日は入学式」 高校1年生。 不安と期待が入り混じる中、新たな学校生活が始まる。
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