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ギシギシと、斜めになった椅子は不安定に揺れ足が置かれた古い机は軋む。
「ぐぅ―――………」
本をアイマスク代わりにして、寝息をたてるのは一人の少年。
黒い戦闘服には黒光りを繰り返す武器の数々があり、それは少女には無理であり一般家庭の少年にも不可能。
少年が一般家庭にいる者とは、違う世界にいる事を語る。
椅子の揺れが止み、机から足が下ろされて本が顔から外される。
バンダナで上げられた髪は緑色。
眠気がなくドアを睨む目は、藍と緑。
手は、無意識のうちにベストにあるナイフへとかけられる。
「………そんなに警戒するな」
見ず知らずの者に警戒をするなというのは、無理だ。
――男だ。
ドアの横に身を潜ませ耳を寄せて、更に神経を研ぎ澄まして外側の様子を伺おうとする。
カチカチ………。
時計の音が聞こえる。
そして、微弱な電信音が聞こえる。
その二つが浮かぶのは、機械類。
「ば、くだん……」
最近覚えた言葉をぎこちなく呟いた。
思ったより、少年の呟きが大きく出てしまった。
咄嗟に口元を塞ぐが、遅い。
「大当り!!ガキのくせによく解るなぁー……」
明るく声が外側から聞こえ、少年は、塞いだままで更に聴覚を研ぎ澄ませた。
ぱぁんと発砲に近い音がなり、少年は反射的にみを丸めて頭を守ろうとする。
「あ、ちなみに敵じゃないと思っていいぜ。ただ、爆弾を解除して欲しかったら紙にさ、血を二三適欲しいだけだからぁー」
「――ただのクラッカーよ」
ばぎと、殴られて床に転がる音が聞こえて落ち着きのある女性の声。
「安心しなさい、小規模な」
爆弾の説明を始めた女性の声に不信感を抱きながらも、耳を傾けた。
「小規模なんてつまらない。だ・か・ら♪」
「商談中よ、邪魔しないで――」
「いやいや、ここ肝心。重要なのよん。奥さん、家が吹っ飛ぶ位の火薬と威力にしたのがこの爆弾。誠心誠意である俺の保証つき」
「………随分、勝手なことをしたわね」
「そんな怖い顔すんなよー。このスイッチを押さないと、作動しな――」
カチッ。
「い………」
スイッチを押す音がはっきりと、扉を挟んで内側にも外側にも聞こえた。
「さ、さあ、皆逃げようぜ☆」
「バカアアアアっ!!」
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