死体は踊り、狼は牙を研ぐ

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人間と悪魔の戦い。それを眺める老人は呆気にとられる。どちらが悪魔か分からないからだ。 熟練された機敏な動きで、悪魔を圧倒する集団。その中には、狂った笑い声を響かせ剣を振るう者までいた。殺す事を楽しむかのように、何度も切り刻む。 次々と転がっていく腐った肉片。牙に砕かれ、剣で切り裂かれ、矢が貫いていく。 血と膿が混じった液体が飛び散り、散乱した蛆虫は踏みつけられ体液を噴き出す。 圧倒的数を誇っていた蜘蛛は、見る見るうちに数を減らしていく。 「こやつら、黒狼の牙か!?」 黒狼の牙、田舎にも知れ渡るほど有名な集団。黒く大きな狼と共に悪魔と戦う人間達。 そして、その強さは一度見た者に絶大なインパクトを残す。この老人の様に……。 「どうも、私はフランツ。黒狼の牙、弓兵隊隊長を勤めています」 呆然と立ち尽くす老人に、フランツは軽く頭を下げる。未だに戦闘は行われていたが、気にする素振りも見せない。 「やはり、黒狼の牙じゃったか。それよりお前さん。いいのか? まだ、仲間が戦っておるが」 「えぇ、あの程度の悪魔には、誰一人後れをとりません。新人さんにはオズさんや、ミラルダさんの様な、化け物じみた強さの人がついてますしね」
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