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すると、テーブルは重さに耐えきれず、軋みを上げる。オズは慌てて斧を掴もうとしたが、その寸で崩れ落ちてしまう。
クレイは顔を覆うように手のひらを当て半笑いした。フランツは目をつむり、溜め息混じりに首を横に振る。ミラルダはオズを睨みながら、巻き添えになった刀を拾い上げた。
「何と言うことだ。ドルトル殿、申し訳ない!」
オズは頭に手を当て何度も頭を下げた。ドルトルも最初こそは驚いていたが、もう気にするそぶりも見せない。
笑顔で散らばった木の破片を、拾い集めた。
それを見たオズも、慌てて拾い始める。クレイの隣で、口に手を当て驚いていたミシェルも、二人を手伝った。
「このテーブルは、大分傷んでおったからの。気になされるな。どうせ、捨てる予定だったんじゃ」
「でも、お父さんが壊さなければ、こんな手間はかからなかったはずです。私からも謝ります」
この言葉にドルトルの手は石になったように止める。目を丸くし、ミシェルの顔を見た。そして、そのまま視線を横にずらしオズの顔と見比べる。
「お主等、親子じゃったのか! 驚いたわい」
「ドルトル殿、何を言っておられるか。どこからどうみても、親子でしょう」
オズが自信満々にそう言い放つと、こらえきれなくなったクレイ達は笑い声を上げた。
「……いやいや、気付かんかったよ。一度、母親の顔を拝んでみたいの」
だがしかし、何気なく発したドルトルのこの一言が空気を一変させる。それと同時に、和やかだったミシェルの雰囲気が急変していた。
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