盗まれたサックス。

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それから僕らは解散して、各自の部屋に戻った。 「よし、やりますか」 とりあえずは、大切な道具のチェックから。 僕はピエロだから、他の皆よりも沢山の道具をチェックしなきゃならないんだ。 ジャグリングに使うボールとかナイフとかね。 壊れてる箇所や汚れてる部分がないか確かめて、柔らかい布でしっかりと磨く。 次に星鯨の脂を軽く吹きかけて……。 毎日欠かさずしているそれを、僕が黙々とこなしていたその時だった。 「大変だ!泥棒が出たぞぉ!」 大きな大きなブラドの声が聞こえたんだ。 廊下から聞こえたその声は、何度も大きくなったり小さくなったり。 きっと彼は、星列車の廊下をひたすらに走り回っているんだろうな。 でも、この星列車に……泥棒?
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