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記憶は確かでは
ないけれど、
物心ついた時から
私は母を恐れていた。
『今日は
お母さんの機嫌が良いですように』
少女は心の中で
何度も何度も
この言葉を
繰り返す。
少女は学校が大好きだった。
勉強も苦手で
友達もあまりいなかったが
学校が大好きだった。
どうして?
だって
一番安全だもの。
一番憂鬱な時間は
学校から家までの10分間。
少女は10分で
帰れる道を30分かけて帰る。
でもね、
先送りしたって
結局は此処に帰ってくるの。
逃げられや
しないんだから。
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