揺籃

2/4
前へ
/82ページ
次へ
  記憶は確かでは ないけれど、 物心ついた時から 私は母を恐れていた。 『今日は お母さんの機嫌が良いですように』 少女は心の中で 何度も何度も この言葉を 繰り返す。 少女は学校が大好きだった。 勉強も苦手で 友達もあまりいなかったが 学校が大好きだった。 どうして? だって 一番安全だもの。 一番憂鬱な時間は 学校から家までの10分間。 少女は10分で 帰れる道を30分かけて帰る。 でもね、 先送りしたって 結局は此処に帰ってくるの。 逃げられや しないんだから。  
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加