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「じゃ、どこならいいわけ?」
ニヤリとした顔もまた男前で、普通の女たちなら顔を赤くしてたじろいでしまいそうだ。
しかし、彼の前に立つ女はそんな事じゃ動揺ひとつ見せない。
彼女は彼の秘書に就いてもう二年になる。
扱いは心得ている。
「人目に付かないところでお願いします。あなたはこの会社の次期社長。スキャンダルはほどほどに」
眼鏡の縁を指で押しあげ、彼女は机の上に積まれた資料を手に取った。
「仕事は……片付いてるようですね」
ぱらり捲った資料には、確認のサインと事細かに指示が書き込まれていた。
悔しいことに、仕事は完璧にこなしてしまうから、余程のことではないと文句が言えない。
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