溜息

6/10
前へ
/262ページ
次へ
 完璧なのは仕事だけではない。  顔、名誉、現在は専務であり次期社長という肩書。  非の打ちどころのない男なのだ。  いや、ひとつ忘れていた。  女癖の悪さ。  塚本千草はこの男の秘書に就いて二年、女癖の悪さにほとほと手を焼かされてきた。  確かに、金、名声、おまけにルックスまでいいとくれば、女たちが黙っていないだろうが、彼も彼で来るもの拒まず去る者追わずのスタイルで、女の巡りがなんとも早い。  専属秘書として就く以前から、女癖の噂は聞いていたが、千草が彼に就いてからは一段とひどくなったようだった。
/262ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17841人が本棚に入れています
本棚に追加