どうあっても輝く星であれ

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残り15秒 時計は止まっている ボールに触れた瞬間、動き出す 「守屋に!」 草野が中央で叫ぶ そうだ こういう時こそ、彼の力が必要だ 有村の投げたボールは、綺麗に守屋の手に納まる ドリブル またも、セオリーを破るプレー だが、この場合はこれが正解だった 何十分と動き回り、体力が限界に近い今の状況 スリーポイントが入れば、もう追い付けない ご丁寧に、教科書通りの位置でしゃがむ 伸びながら放つ 「…!」 「マジかよ!」 ボールは美しく、大きな弧を描き リングに バアァァン! 「…は」 轟音 押さえ付けられた ボールが、ボードに まるで、張り手でもしたかのように 「馬鹿な…」 ―――…どうして… 「どうしてそこにいる!藤堂ォォォォォ!」 ボードにぶら下がった彼は、支柱の一部を蹴って飛び下りる 衝撃を完全に殺した着地で、すぐにでも動き出す 将人は第三クォーターから出ていた 疲れてない、と言ってしまえばそれまでだ 絶対に、それ以上の何かが、彼をあそこまで動かすのだ 何かが… 「いつか、ほんとうにほしにてがとどいたら、ふうかのために、いちばんキラキラひかってやるからな!」 そう誓うと、少女の目が、早くもキラキラ光る 「ほんと!?いちばんにいちばんみせてくれる!?」 「あぁ!やくそくだ!…そうだ、げんきにがんばれば、いっしょうけんめいやれば、ぜったいとどくぞ!」 すたん、と降り立ち、腰に手を当てる そして、すう、と息を吸い 「目指すは!一番星だ!見ていろ!風華!」
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