どうあっても輝く星であれ

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「ただいまだ!」 「ただいま…」 久しぶりの我が家 久しぶりの『ただいま』 やっと帰ってきたのだ しかし、真っ暗だが 親は…仕事か 玄関の明かりを点けると、廊下からリビングまで照らされる 「さて、少し遅いが、飯にするか!」 ぐるんぐるんと腕を回す 作ってくれるようだが、はっきり言って、不安だ 将人が料理をするところなんて、見たことがない まぁ見ていろ、と椅子に移される 将人は冷蔵庫をまさぐり始める ふと、今日が何日か気になった 入院生活はほとんどルーティンだったので、日にちの感覚が無くなってしまったのだ ―――カレンダーは…、…? おかしい 一番最後にカレンダーを見た日と同じだ 日めくりなのに、動いてない 「もう、兄さんってば」 「ん!?何だ!」 こちらに背を向け、何かをしている将人が返す 甘い匂いが香る 「カレンダーは毎日めくらないとダメですよ、今日は何日ですか?」 「風華の誕生日だ」 「………え?」 今… 「紛れも無い、おまえの誕生日だ」 「…やだ、兄さん、私の誕生日は」 「事故の、あった日だな」 「…」 覚えている なら、どうして 「…あの日から、日付が動いたら、おまえが誕生日を迎えられなくなってしまうじゃないか」 「…え?」
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