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翌日
莉王が一人で登校していると(轟鬼はまだ帰ってない)
「日村君」
後ろから、いきなり声を掛けられた
振り返ると、葵がいた
「あれ、葵先輩…」
「『さん』で構わないですよ、先輩って響き、苦手なんです」
葵は微笑み、莉王と並行する
「…日村君、昨日の事なんですけど…」
みゅ、と莉王は前を向いたまま相槌を打つ
「柚は、あなたに申し訳ないことをした、と言って、ずっとしおらしかったんですよ」
「…みゅ」
「柚のこと…許した上で、秘密にしてください…私から、もう一度お願いします」
莉王は無言だった
葵は、その間が気になったが、応答を急かす必要も無いので、ただ、待っている
「…許す、なんて、そんな上から目線じゃ、いやなの…」
「え?」
「僕、柚季先輩が悩んでることは、誰にも秘密にしたいっていうことくらい、わかるの」
わかってくれる子でよかった
そう葵が思った時だった
「男の子なのに、おっぱいがあるって、恥ずかしいの…僕だっておっぱいあったら恥ずかしいから…秘密にするの…」
ずっこけた
勘違い…なのだろうか
ある意味間違ってはいない
そもそも、あの状況を見て、柚季を、女性のような胸がある男子、と認識しているのがすごい
「あ、あの、日村君?」
「絶対内緒にするから、柚季先輩に、大丈夫、って伝えてください」
ぺこり、と頭を下げた
○
約束通り、柚季に伝えた
「…微妙だな」
「…微妙ですよね」
二人は揃って複雑な心境だった
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