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というわけで屋上に来ました
桜は冷めた目をしていたが、せっかくだから、ということで…
待っているのだが
「…いつ来るんだろう」
未だ姿を現さない、手紙の差出人に、早く来てほしいと思っています
そんな彼の遥か後方
校舎内に入る扉の上、貯水用タンクの陰に、銀髪の少女と、大柄な男がいた
「…クリス」
「…なんですの、ゴーキ」
「何故俺をここに連れてきたのか聞かせてもらおう」
ついさっき、四国一周のトレーニングから帰ってきたばかりだというのに
クリスは、はぁ、とため息をつく
「よろしいですか?貴方はリオ様のボディガードなんですのよ?サクラから聞いた、例の手紙の差出人が、リオ様のお命を狙う不届き者である可能性がある以上、貴方がここにいるのは、当然ではありませんか」
そんな可能性など無いと思うのだが
とは言えなかった
屋上の扉が開いたからだ
ギギギ、と機械的な音を立てて開く扉から、一人の女子生徒が現れる
むむ、とクリスの眉が釣り上がる
そして、轟鬼に耳打ちをする
「あの女子生徒、見覚えはありまして?」
「いや…後ろ姿だからな…」
クリスはもう一度、女子生徒を見る
髪がサラサラになるリンスのCMに出てきそうなサラサラ具合の長い黒髪が特徴的だ
スカートの丈はあえて短くしているらしく、少し軽そうな印象を受ける
その女子生徒はゆっくりと莉王に近づいていく
莉王は、扉が開いた音に気付いてはいなかったようで、あらぬ方向を向いている
と
「…む」
「どうかなさいましたの?」
クリスの問い掛けには生返事で返した
―――…一瞬、こちらを見た…
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