1496人が本棚に入れています
本棚に追加
女子生徒は莉王の間近まで歩み寄る
やっと莉王が気付いて振り返る
その時
ハンカチが、莉王の顔に押し当てられる
彼は驚いた表情を浮かべて、すぐにカクン、とうなだれてしまう
クリスが驚愕した瞬間、轟鬼は走りだしていた
しかし、あと数m程の所でで立ち止まる
間合い
目の前の女子生徒から、手練の雰囲気が漂う
これ以上近づいたら、危険だと判断した
自分も、莉王も
女子生徒は半分だけ振り返ると、にやりと笑った
そして、フェンスを蹴り上り、あろうことか飛び下りた
「な…」
轟鬼に追い付いたクリスが口を押さえる
「リ…リオ様ぁ!」
フェンスまで近寄る
その時には、轟鬼はフェンスの上に立っていた
「案ずるな、クリス…」
落ち着き払った口調で、慌てる彼女をなだめる
「あの二人は落ちてなどいない」
「…!?どうしてわかるんですの!?」
やや興奮気味のクリスを振り返りつつ、轟鬼は屋上側へ下りる
「…やはりあの女、見覚えがある」
○
ぱち、と莉王は目を覚ました
眠い
欠伸が出る
と、辺りに意識が向く
「…どこ?ここ…」
見たこともない場所だ
だが、壁は見たことがある
「…学校?」
「そう、ここは東星高校だよ」
「みゅ!?」
どこからともなく聞こえる声の主を探そうとする
しかし、あることに気付く
後ろ手で縛られている…足首もだ
それに、横になっている
「みゅ…みゅみゅ~!」
莉王は暴れるものの、もちろん拘束は解かれない
最初のコメントを投稿しよう!