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「な~おさ~ん」
猫撫で声で、目の前に座るツインテールを呼ぶ
「あ、お邪魔してま~す」
「お邪魔してるね、ホント邪魔だね」
奈緒は律儀に頭を下げたが、無性にその頭をひっぱたきたくなった
だが、それをなんとか我慢して、奈緒の持つ容器を指差す
「それ、どっから出した?」
「ん?これ?冷蔵庫から出させてもらいました、二段目だったかな?」
まさしく、楽しみにしておいた杏仁豆腐があった場所だ
「鷹爪猛襲脚!」
ガゴオ、とテーブルの上に置かれた奈緒の右腕の二の腕を踏む
素晴らしい跳躍力
10点満点
「ほぎゃー!」
哀れな親友に引導を渡してやってから、テーブルにつく
いらだたしげに足をパタパタつく
「そんなに催促しないでよ~、母さんの腕は二本で指は20本だわ~」
「えっ!?」
明らかにおかしいので、指折り数える
10である
「足のも指って言うでしょ~」
あ、そっか、と納得する
も少し細かく言っていただけるとありがたかったんだが
「あ、そうそう」
台所で鮭を捌いていた母は、何かを思い出したように手を口にあてて、大急ぎでエプロンを外す
「どったの?」
当然の質問です
「今日から居候の子が家に住むことになってるんだけど~、9時頃に京都駅に迎えに行かなきゃなんないのよ~」
時計を見る
ただいまの時刻は8時55分
「そりゃ大変だね」
そこらへんにあったファッション雑誌を手に取り、適当にページをめくっていく
―――あ、これ可愛いな
あるページをしげしげと見つめる
「……はあぁぁぁぁ!?居候ぉぉぉぉぉぉ!?」
非常に遅いですね
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