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去年の夏、初恋を失った。唯一、私が彼と繋ぐ約束だったけど、彼は忘れてしまった。
そして、私は水泳部を辞め、泳ぐ意味がなくなったから・・・・・・
高3になり、本格的に進路を考えなくてはと考えながら、図書館で勉強していた。
「・・・弥生ちゃん、今日も来ていたんだね。勉強?偉いね。」
顔を上げると穏やかな笑顔の青年がいた。
「あっ、時雨さん。こんにちわ!そんなことないですよ。私には、水泳しかなかったから・・・他に、打ち込むこともないし・・・」
時雨さんは、この近くの大学生で、図書館の司書を目指していて、図書館にボランティアで手伝いもしている。
そして、今の私にとって、誰よりも頼れる存在で、憧れの人だった。
「ちょっと、休憩しない?」
「休憩ですか?」
「駄目かな?弥生ちゃんとお茶したいなーなんてね思ったんだけど?」
時雨さんの誘いを受けた。
新緑の葉が覆い繁る木の下で、時雨さんのお母さんのお手製クッキーと時雨さんが煎れて来た紅茶でティータイムを過ごす。
「・・・司書の仕事、大変ではないのですか?」
彼はクスッと笑う
「大変だけど、本が好きだし、それにもっと、たくさんの人に、読んで欲しいんだ。そうだ、弥生ちゃんが読みたがって、本、持ってきたよ!」
「えっ、本当ですか?!!」
心が弾み、思わず声も弾んでいた。
時雨さんとの出逢いは、去年の夏の大会後、私は逃げる様に水泳を辞め、学校や家から離れてる昔から通っている図書館に頻繁に通うになり、泣きそうな顔をした私に声を掛けてくれたのが、きっかけであった。
水泳部を辞めたこと、失恋したこと、何故か話していた
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