優しい音色

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/140ページ
 「 優しい音色 」  カラクリ仕掛けの音色。ネジを巻き、鳴り響く音を聞きながら、貴方を待っている。 「...涙(るい)、早く帰って来ないかな?」 私は、付き合ってから初めて貰った彼の手作りオルゴールを聴いている。彼は、時計やオルゴールなどのカラクリ仕掛けな物を作る職人。 出逢いは、オルゴールから始まった。  小さな頃から好きだったオルゴール。祖父のアンティーク好きなのが、似たのかな? ある店に通りかかると、オルゴールが鳴り響いていた。 私は、ふらっと誘惑に負け、中に入っていくと、中にはオルゴール仕掛けの時計に、可愛い人形が踊るオルゴール箱なんかが、置かれていた。 「ああ、可愛い。あっ、この曲...」 さっきとは、違うオルゴールが鳴り出した。その曲は、クラシックの曲で、祖父がプロポーズの際に、流した曲だって話してくれたものだった。 「...どこで鳴ってるのかな?」 綺麗な音色にすっかり魅了され、祖父にあげようと考えた。  歩き回って、見つけたオルゴールは、木製の箱に入っていて、かなり古い物だと思う。 「...あった。結構、年季が入っているみたいだから、高いのかな...」 「いらっしゃいませ。」
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!