第一回戦。

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職を失ってからの抜け殻の様なここ数日。 何をする訳でもなく会社からの手紙が届くのを待った。 何せ書類がないと職探しが出来ない。 雇用保険の手続きだぁ? あぁ、めんどくせー(T_T) そして退職から一週間、あたしの部屋に一週間分のゴミが溜まり、冷蔵庫からは食料が姿を消した頃にそれは届いた。 働かなくなって解ったけれど、あたしの生活は本当に仕事中心で、それが無くなってしまうと体から活力が抜け落ちるらしい。 仕事だけでなく私生活にもめりはりは無くなり、何もやる気が起きない。 炊事、洗濯、掃除、どれを取っても仕事をしているからこそこなせた業務の一つみたいな物。 こんな有り様人様には見せらんないや。 届いた封筒は薄い水色で、差出人にはあたしが五年を過ごした忌々しい社名が記されていた。 目にするのも嫌なその名前。 あんなに誇りを持っていた会社なのに、人って案外単純で、そんな自分が薄っぺらい人間に感じた。 封を開けると、自分が解雇された事を再確認させられた。 ダメージは案外でかい。 それらに一通り目を通すと、あたしは数日ぶりに部屋着から脱し、軽く化粧をすると荷物を纏めた。
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