第一回戦。

3/5
前へ
/30ページ
次へ
職業安定所なんて生まれて初めて来た。 一歩足を踏み入れると人だらけ。 ゴミゴミしていて息苦しい。 狭い部屋にぎっしりと人が密集していたのだ。 …いくら不景気だからってこりゃないよ。 歩くだけでも人を掻き分ける為に「すいませーん」を何回言うだろう。 そんな下らない事を考えながら、あたしは受付に並んだ。 受付を済ませるだけでもその列には10人とは言わない人が並んでいて、これから先その人だかりの中で職を探す事への不安を覚えた。 一体あたしはこの中でどのくらいの確率で就職に成功出来るのだろうか? ネガティブになる思考は止まることを知らない。 このまま仕事も決まらず、生活出来なくなったら…。 実家に戻りたくはない。 だからと言って結婚に逃げたくはない。 し、相手もいない。 残念な事に。 あたしの行き場はあるのだろうか? そして数分後、無事に初めての受付を済ませたあたしは、次の手続きの順番待ちをする事になった。 その手続きが終わるまでに一時間待ち。 それから登録やら認定やら。 一体何時間時間を無駄にするだろう? あたしは溜め息を飲み込む様にして壁に寄りかかった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加