第八夜

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一時間ほど歩くと、小さなほこらに地蔵が奉ってあった。 霧が深くなっていて文字を読むことが出来ない。 『それじゃあ、私見てくるよ』 「私も一緒に見てきます」 ゆらが後ろからついてくるのを確認しながら、ほこらに近づけばそこには【梅若丸】と書いてあった。 梅若丸・・・つい最近見た気がしたんだけれど思い出せないな・・・υ 清継がゆらを誉めているのを横目にみながら思い出そうとしていると、後ろから声をかけられた。 「意外と早く見つけたな・・・さすが清十字怪奇探偵団!!」 お世辞でも清潔とは言えない男は清継曰く、妖怪研究家の化原(あだしばら)というらしい。 ゆらが梅若丸について質問をすれば化原は語りだした。 梅若丸とは捩眼山の妖怪伝説の主人公の名。 ある少年が生き別れた母を探しに東へと旅をする途中、妖怪に襲われ一本杉の前で命を落とした。 だが無念の心から鬼となり、山に迷い込む者どもを襲うようになった。 暴走をくいとめるためにいくつもの供養碑がたてられたが、これもその一つらしい。 .
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