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「見ろ!あれを!絶壁の妖怪スポットだ・・・【牛隠れの洞窟】!」
ぎりぎりのところまで身を乗り出す清継の視線の先には、確かに洞窟がある。
葉月たちはゆらたちを旅館に残し清継についてきていた。
そして妖怪スポットの一つにたどり着いたのである。
「かつてこの山で妖怪におそわれた法師が逃げこんで百日間すごしたという洞窟・・・よし、島くんおりよう」
「むりですよ!」
(無理でしょ!)
ここから下の洞窟には高さがある。
その清継のむちゃくちゃな提案に島とぴったり合った葉月。
正直、妖怪が絡むと周りが見えなくなる清継は成長してほしい。
葉月がやれやれと思っていたその時、
「リクオ様あぶな―――い」
ドシーンと効果音がつきそうな勢いでリクオはつららに突き飛ばされた。
『えっ、ちょっとリク!?』
慌てリクオが落ちた方向を見れば、先ほどの洞窟があった足場にリクオは落ちていた。
見た目よりはたいして高さはなかったらしいが、勢いよく落ちたので痛かっただろう。
(つららはいったい何があったの?)
あれほど慌て何からリクオを守ろうとしたのかとつららの視線の先を見ていれば、草むらから出てきたのは狸だった。
(狸に化かされたってか?)
意外な正体に拍子抜けしてしまった葉月は、今だにあがってこないリクオに合掌した。
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