第一章・ヤマト

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幽霊。 この場合では非化学的存在を示すものではなく、軍人達の一つの合図を示している。 第二次星間戦争が終結してからこっち、宇宙地球を問わずに無人TRBによる攻撃が相次いでいた。 奴らは小型輸送艦に搭載され、時期がくるとシステムを起動させ攻撃をする。 このせいで戦争が終わっても戦いは終わらず、政府による軍備増強が行われていた。 そしてキョウスケが見つけたのも、その小型輸送艦だった。 数は三隻、スペースシャトルに大きなドラム缶型の格納庫が取り付けられている。 「セントラルの近くで起動する気か、厄介だな」 もしセントラルの近くで戦闘を行うとすれば、少なくとも生活区の何処かが損傷することになる。 『隊長、どうします?』 部下の一人が焦る口調で問う。 下手に手を出せば、予定より早く奴らを目覚めさせてしまうかもしれない。 『いっそ自分が……』 「待て」 焦る部下を宥め、キョウスケは別の部下に声を掛けた。 「ヴィレッタ、レールガンは使えるか?」 相手は、正式カラーである藍色に染められているアパレシオン。 パイロットは女性のヴィレッタ・アルノバレル少尉。 キョウスケの記憶が正しければ、ヴィレッタのアパレシオンにレールガンが装着されているのは彼女の射撃の腕がぴか一だったからだ。 そして彼女は、自信満々といった様子でキョウスケに答える。 『ええ、隊長。問題有りませんわ』
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