第一章・ヤマト

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「墜ちろおおおおっ!」 キョウスケが吠え、アパレシオンのプラズマビームサーベルが、ウートガルトの量産機『NM-0ハーウィン』の脾腹を貫いた。 ハーウィンはマリオネットのように身体は細く、ウートガルトと同じナノ・ドライヴ・エンジンが搭載されている。 機動力も高く、流石のキョウスケでもウートガルトとハーウィンの交差攻撃をかわすので精一杯だった。 「一人になるな! 各機連携して攻撃しろ!」 爆発したハーウィンを尻目に、キョウスケは何とか部下へ指示を下す。 だが。 『隊長、後ろですっ!』 ヴィレッタの引き攣った叫びが彼の耳朶を打ち、キョウスケは背後に猛烈な殺意を感じた。 急いで振り向くと、そこではウートガルト・ノヴァが拳を振り上げている。 「しまっーーーーーーうぐぁっ!?」 アパレシオンの顔面に拳が叩き込まれ、キョウスケはそのままセントラル・コロニーの方へと流れていく。 ヴィレッタともう一人の隊員が後を追おうとするがハーウィンが邪魔をし、その場に足止めされてしまった。 「くっ。隊長!」 アパレシオンを追うウートガルトを、ヴィレッタはただ睨みつけるしか出来なかった。 ただ味方がやられたことを知らせる爆発に気付き、彼女はトリガーを引き始める。 今は信じるしかないのだ、彼を。
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